意見が言いやすい職場とは?

【10】意見が言いやすい職場とは?【中西勇樹】

今回は、職場における「心理的安全性」について考えていきましょう。
二つのチーム

Kaizen活動を行っている職場を訪問して、活動リーダーにヒアリングをさせていただく機会がありました。
活動リーダーたちが困っていることがあれば、サポートすることが目的です。

最初に話を聞いたのは、改善活動を非常にうまくいっているチームのリーダーです。
普段の作業時から改善のアイデアや提案が日常的にあがっているようです。
Kaizenミーティングでも活発に意見がされている様子で、チームの雰囲気もよいものでした。

次に話をお聞きしたのは、活動がうまくいっているとはいえないチームのリーダーです。
機械ごとに作業担当者がはっきり分かれている現場で、普段から会話が少ないとのこと。
改善ミーティングで、リーダーが意見を求めてもなかなか手が上がりません。
リーダーとしては、どのように改善活動を進めていけばいいのか困っている状態でした。
心理的安全性

この二つのチームの違いは何でしょうか?

意見が言える安全安心な場づくりを表す概念として「心理的安全性」という考え方があります。
心理的安全性とは「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」(A・C・エドモンドソン『恐れのない組織』)と定義されています。
このチームの違いは、コミュニケーションの前提になる「心理的安全性」をメンバーが感じられているかという点にあるのではないでしょうか。

心理的安全性の高い職場とは、メンバーが作業中にふと感じた疑問やアイデアを口にできる、発言を聞いたメンバーもその意見をまずは肯定的に受け止める、そして自分の考えも素直に口にできるという職場です。

逆を言えば「こんなことを言って否定されないだろうか」「変なことを言ったら馬鹿にされるかもしれない」といった不安を感じることのない雰囲気といえるでしょう。

誰しも職場で気兼ねなく自分らしく話をしたいと思っているのではないでしょうか。
また意見が言いやすい職場はメンバーが協働できて改善活動が前に進むと、理屈でわかっています。
でも、一旦意見を言い出しにくい雰囲気が職場でできあがると、なかなかそれを打ち破ることは難しいと感じられます。
心理的安全性高めるには?

それでは心理的安全性を高めるには、どのような取り組みができるでしょうか。

活動に苦労しているチームのリーダーとは、話しやすい職場づくりのためにチームで取り入れられそうなアイデアを一緒に考えていきました。

職場における心理的な安全性を高めるには、まずはメンバーお互いがどんな人なのか知ることから始まります。
どんな趣味を持っていて、休みの人には何をしているのか。
どんな作業が得意で、仕事についてどんな風に思っているのか。
まずはその「人となり」を知ることから始めて。お互いが安心、安全を感じて話せるようになっていきます。

そこで職場で実践できるアイデアとしては
・Kaizen活動で設置している「見える化ボード」にメンバー紹介欄をつくり、各自の自己紹介を書く
・改善ミーティングの始まる時に時間をとって、昨日会った出来事について各自が話す
などが上りました。

まずは各自の日頃の行動から、話しやすい職場づくりが始まると言えます。
まずは自分からオープンな気持ちで自己開示し、自然体で周りに接してみようとする。
メンバーの意見にはまずは「いいね」で受け止める。

自分達のチームを良くすることは「誰か」がやってくれるわけではありません。
自分が求める職場づくりに向けて、まず自分から一歩を踏みだしてみましょう。

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