人は間違える

【6】人は間違える【中西勇樹】

以前「性弱説」についてお話しました。引き続き、考えてみましょう。
 
前回は、人を理解するときに「性善説」や「性悪説」ではなく、「性弱説」に立つことで本質的な行動のヒントが手に入るのではないかとお伝えしました。

今回は、性弱説つまり「人間は、性善なれども、弱し」と考えることで得られる「行動のヒント」について考えていきましょう。
 
 
「人間は間違える」

私は前職では品質管理部門において、不良や事故の再発防止に取り組んでいました。事故が発生した際には、現場と共に再発防止策を立案します。

当時、事故要因のトップはヒューマンエラーでした。人が起こす間違いや失敗によって発生する事故のことです。
 
当初、発生部門が作成した再発防止策には
「今後充分注意して、確認しながら作業を進める」
「ダブルチェックを行ってエラーがでないようにする」
といったものが上がってきました。
 
ただこういった対策では、やみくもな精神論になってしまったり、チェックの工数が増えることで納期に影響がでてしまいます。
 
そこで、あらたに取り入れたのが「性弱説」の視点でした。

「人間はそもそも間違える存在である」
そういった人間の認知特性を理解し、間違いやすいポイントを改善することでミスを抑制していく取り組みです。
 
例えば「人は意味のないものは取り違える」という特性があります。
そこで、間違いやすいファイルのフォルダ名には【具体的な案件名】を記載します。

また「人は短期記憶を忘れる」という特性があります。
そこで、作業を中断するときは【メモや中断カード】を活用して、自分の記憶に頼らないようにします。
 
人間が作業をする限り、ヒューマンエラーを完全になくすことは難しいです。
しかし「人間の弱さ」を前提にエラーの防止策を現場と一緒に考えることで、メンバーの作業管理レベルが向上しました。
 
「人は弱く、間違いやすい存在である」
こんな視点で、普段の仕事や日常の出来事を見つめ直してみるのはいかがでしょうか。

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