自分たちの意見を言える場がなかった・・
【2】自分たちの意見を言える場がなかった・・【中西勇樹】
当時私は、サービス企業の品質管理部門で、現場の品質向上をテーマに活動していました。そして、社内のサービスに関わる様々な課題に取り組むにあたり、製造業で取り入れられる小集団活動を導入することになりました。企業としては、いわゆるトップダウン型で、現場の声が上がりにくい組織であったことから、現場主体で問題解決を行う小集団活動を行うことにしたのです。 導入して、すぐのこと。現場を訪問した私に、活動チームのリーダーであるK君が、うれしそうに話しかけてきてくれました。 「自分たちが意見を言える場って、なかったんですよ。自分たちで活動して良いんですね!」 K君は、大手顧客から継続して指名を受けるスタッフで、職場のメンバーからも信頼されている社員でした。 彼が言うには「お客さんに対していいサービスを提供しようと思うと、それだけ社内の気になることが、いろいろ出てくるんですよ」とのこと。 そこからK君は、チームメンバーと一緒に職場の「ちいさな改善」に取り組んでいきました。 一例をあげると、 ・平置きされた作業伝票をファイリングして棚に保管する ・社内スタッフが共有で使うPCのフォルダを整理する ・身長の低いスタッフの手が届かない場所にある、スイッチの位置を変更する などなど。 まずは、自分たちが「困っていること」、「よくしたいと思うこと」から、手掛けていきました。 私は、そんなK君をはじめ、社内で動き出した現場のチーム活動を見て、 「現場のメンバーは、意見を言える環境と機会が持てれば、自分たちで会社を変えていく力を持ってるんだ!」と、そんな気持ちを強くもちました。 これが私の今の活動につながる原点です。 |
ビジネス上の「正解がある」時代は、トップダウン型組織において「やるべきこと」が上から示され、それを確実に実行することで成果を上げることができました。 一方、今直面している、不確実で「正解のない」時代においては、チーム分散型の組織を志向し、現場でビジネスの変化をとらえ、自分たちで課題を設定し答えを見出していくことが求められます。 この時代の変化の中で、みなさんの組織において、次のような課題を感じることはないでしょうか? ・メンバーが指示待ちしてばかりで、自分で動かない ・チームで協力関係が築けず、成果が出ない ・管理職が指示命令型から変化できない 組織になにか変化をもたらしたい。 そんな思いはあるものの具体的にどこから手を付けていけばよいのでしょうか? |
「働く人々が、日々幸せを感じられる職場を創る」 今、私たちが取り組んでいること、それは従来の生産改善活動からさらに進め、チームの信頼をベースに組織創りまで広げるものです。 我々の【Kaizen活動】のコンセプトは、活動を通じて「働く人々が、日々幸せを感じられる職場を創る」ことです。 私たちが進めるKaizen活動とは 自ら課題を設定、解決にむけて行動できる個人を育てる 少人数のチーム活動の実践を通じて、相互に認め合う関係を育てる。 組織の目的を共有して、全体で現場の活動をサポートする これを継続的に行うことで、メンバーが「この職場で働けて良かった」と思えること。「これからも、ここで働きたい」と感じられること。 その内発的な気持ちを起点に中長期的に人の力、現場の力を高め、芯から力のある組織に変化することを目指します。 従来の生産改善活動は、生産性や品質の向上を目的に行うものと言えるでしょう。 一方、我々が進めるKaizen活動は、日々の業務改善の結果も出しながら、成果を生みだす人と組織を育てることで、最終的に企業としての結果を生み出すものです。 最初に紹介したK君は、その後も活動をすすめました。 ・需給変動に応じた、拠点間スタッフ応援の運用体制をつくる ・サービス拠点間で異なっていた業務フローの統一とマニュアルの整備 ・現場メンバーの教育時間をスケジュールにのせる など、より大きなサービスの課題解決に取り組み、具体的な結果をだしていきました。 小さなことから始めて自信をつけ、周囲の協力も得ながら、より大きな改善改革に進める姿に頼もしさを感じました。 |
個人の「やりたい」という意欲と成長に関わること。 組織がより幸せを感じられる場所に変化すること。 そんな組織づくりの力になりたい。このような思いを胸に活動をすすめています。 |